第二講:DMOの羅針盤


大前提:DMOの目標を決める三要素とは


 観光庁の日本版DMOの推進もあり、DMOの認知度は大きな広がりをみせていますが、その目的や機能に比べて、以下のDMOの「目標」を決めるための三要素についてはあまり認知されていない感があります。

 

 え?目標ってどこのDMOも一緒じゃないの?と思った方は「目的」と「目標」の区別を認識しましょう。目的とはなぜ、何のためにDMOを設立したのか、という「理念(WHY)」の部分であり、目標とはそのDMOが最終的になしえたい「ゴール(WHAT)」のことです。その目的からスタートし目標を達成するための「手段(HOW)」がDMOの戦略に基づいた各種活動ということになります。

 

例えば・・・

目的:地域経済のインバウンド観光による活性化

手段:A地域の特産品であるBの6次産業化によるCの開発・販売

目標:Cの年間売上XXXX円達成(☜目標は数値で評価できるモノです)

 

・・・といったように目的はどこの地域も似たり寄ったりになるかもしれませんが、成すべき目標は大きく異なるものなのです。そしてこの目標を決めるための大きな指標となるのがこのDMOの三要素なのです。

 


三要素の中身でDMOの目標は変わる

 DMOの目標は上述の①理念の共有②人材の育成・活用③の資金の調達の3つの指標の度合によって実は大きく変わります。

 まず①理念の共有ですが、これは理念の共有できるエリアの範囲によって、そのDMOが市町村レベルの狭域なのか、県レベル以上の広域なのか、規模が変わってきます。これは簡単に理解できると思います。例え同じ県内であっても廃藩置県前の文化的背景によって理念の共有が難しいエリア同士で無理に広域DMOを組成してもうまくいかないのは想像できますよね。

 

 重要なのは②人材の育成・活用の部分です。DMOのMにはマーケティングとマネジメントの両方の意味があります。ところがそのどちらに注力するかで、組織内の人繰りが大きく変わってきます。マーケティングは市場の調査から始まり、域内の観光資源を継続して利用できるカタチにし、さらに市場で売れる商品としてデザインする専門的な業務です。つまり実行できる「ヒト」が必要になってきます。観光協会や観光案内所からDMO成りした場合、この②人材育成・活用の要素を担保できるかが、円滑なマーケティング活動のカギになりますがこれが第三講で述べるように実はかなり困難なのです。

 

 DMOのあり方を決めるさらに重要な要素が③資金の調達です。前述のマーケティング活動は営業・販売活動と異なり、調査・企画・開発・広報などを行うコストセンターです。売上を直接だす部門でないにもかかわらず、その活動を行うためには、きちんとした財源を確保する必要があります。これも第三講で述べるように構造的に難しいという現実があります。

 

 ではDMOは②マーケティング人材の育成・活用と③一定規模の資金の調達の要素が揃わないと組織できないのか、というとそれは違います。DMOのMがマーケティングではなくマネジメントに変化するのです。この小規模DMOの役割の詳細は第四講で述べます。

 DMOが達成すべき目標は三要素の度合によって大きく変わるということをここでは、前提として押さえておくことが大切です。マーケティングやブランディングをやりたいなら、特にインバウンド市場に向けてやりたいなら、カネとヒトを用意できないと厳しいのです。

 これは、「やるな」という意味ではなく、地域マーケティング・ブランディング活動をやるための②マーケティング人材の育成・活用や③資金の調達が構造的に難しいということを踏まえて知っておいて欲しい前提なのです。これは第三講で詳細を説明します。